感情レヴュー

中沢忠之、『文学+』を刊行する「凡庸の会」同人

2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

「ブラック企業」の語用をめぐる係争点

https://www.asahi.com/articles/ASN7X31M3N7QULFA03Q.html https://twitter.com/shintak400/status/1288432971783917570 「ブラック企業」の語用をめぐる対立。とてもクリティカルな係争点があるので、ポストしたいです。今野晴貴氏と河野真太郎氏、両方間…

蔓延するコロナ小説

1、最近どういうわけか、コロナ関係の小説を集中的に読んでいる。各誌時評などで取り上げられているので気になって文芸誌を漁って読み始めたのだが、想像以上に多数あって驚いた。創作だけではなく、エッセイや日記、評論を加えれば1冊まるごとコロナ本?と…

2020年上半期芥川賞雑感(3)

最後に遠野遙氏の「破局」(『文藝』2020・夏)についてお話ししたいです。本作は文学史に置いてみると際立った特異性が見えてきます。 まず遠野のキャラクターにおいて指摘できる点は自閉症的な主体ということです。自閉症的な主体といえば、ゼロ年代の文学…

2020年上半期芥川賞雑感(2)

小説の話者には4つのタイプがあります。理性的な話者、狂った話者、狂ったふりをしている話者、理性的なふりをしている話者の4つです。もちろんこれは認知的な判断なので、理性的か、気が狂っているかを評価するのは読者―この私―であるわけですが。 さて、今…

2020年上半期芥川賞雑感(1)

2020年上半期芥川賞が、団塊ジュニアとゆとり世代の対決であることをご存知でしたか? 石原燃(1972)、岡本学(1972)、高山羽根子(1975)、遠野遥(1991)、三木三奈(1991)。 1972年生の私は、1991年生の2氏の作品に多くを惹かれました。若い者の気持ち…