感情レヴュー

中沢忠之、『文学+』を刊行する「凡庸の会」同人

2020-07-04から1日間の記事一覧

2020年上半期芥川賞雑感(3)

最後に遠野遙氏の「破局」(『文藝』2020・夏)についてお話ししたいです。本作は文学史に置いてみると際立った特異性が見えてきます。 まず遠野のキャラクターにおいて指摘できる点は自閉症的な主体ということです。自閉症的な主体といえば、ゼロ年代の文学…

2020年上半期芥川賞雑感(2)

小説の話者には4つのタイプがあります。理性的な話者、狂った話者、狂ったふりをしている話者、理性的なふりをしている話者の4つです。もちろんこれは認知的な判断なので、理性的か、気が狂っているかを評価するのは読者―この私―であるわけですが。 さて、今…