感情レヴュー

中沢忠之、『文学+』を刊行する「凡庸の会」同人

2009-10-01から1ヶ月間の記事一覧

モダニズムの夢再び

僕が、短歌や物語の自動生成機械という発想に興味が湧かないのは、「第二芸術論」の二番煎じとか人間不要の夢など馬鹿げているとかそういうことではない。それがモダニズムのはかない夢だとしか思えないから。 モダニズムというのは、ジャンルの形式的なルー…

彼女が髪を切った理由――川上未映子『ヘヴン』

「だから、ぜんぶをぴしっと切っちゃうんじゃなくて、一部だけちょっと、ほんの少しだけ切るのが大事なんだって。君ちゃんと見た? 学校のだってぜんぶさきっちょしか切ってなかったでしょ? あれぜんぶ完璧におなじ長さなんだよ。大きくじゃきじゃき派手に…

続モダニズム以降の表現の可能性――竹内好と坂口安吾

1 最近、竹内好論を書く必要があって再読している。読めば読むほど、安吾とロジックが似ていると改めて思うところがある。それについては以前、学位論文(『安吾戦争後史論 モダニズム以降の表現の可能性』2007年)でも書いたことがあるのだけれど、文学史上…