感情レヴュー

中沢忠之、『文学+』を刊行する「凡庸の会」同人

2020-01-01から1ヶ月間の記事一覧

文芸批評の文体

1、Twitterを眺めていたら、どういうわけか蓮實重彦の文体に関するツイートが2、3散見されたので、文芸批評の文体について感想を書きとめておきたい。 2、文芸批評は、小林秀雄以来、文体問題とは切っても切れない関係にある。小林は、そのデビュー作に…

主題の積極性

1、先般の芥川賞は古川真人の「背高泡立草」に決まった。SNSでの予想合戦は、おおかた、千葉雅也「デッドライン」や木村友祐「幼な子の聖戦」、乗代雄介「最高の任務」に集中しており、結果はそれを裏切るものだったと言える。 2、芥川賞決定後もSNS(ほぼ…

乗代雄介「最高の任務」

1、私は「最高の任務」1オシ。 最近こんなに描写で引かれた作品はない。要所に和歌があったり、過去の日記や著書からそのつど情や景を立ち上げていく。それは歌物語を思い起こさせるが、電車に乗りながらの道行・紀行文でもある。 そこに書かれるのは、一…

純文学展望2020

1、昨年は『文藝』の韓国文学特集(「韓国・フェミニズム・日本」)を中心に、文芸誌が何かと話題になったが、今月発売予定の『文藝』SF特集も予約など堅調らしい。 ただし、円堂都司昭が分析している通り、文芸誌が新しい市場を開拓したとかいう話ではな…