感情レヴュー

中沢忠之、『文学+』を刊行する「凡庸の会」同人

2008-01-01から1ヶ月間の記事一覧

夕方の光と蛍光灯の光が交差する湯気のなかで顔以外の全部を鏡に映してみること/形而上の誘惑と形而中の反映/川上未映子『乳と卵』

今回『乳と卵』で芥川賞を受賞した川上未映子の文章には、叙述のあいまあいまに、「あいだ」や「狭間」や「隙間」といった言葉が間隙を縫うようにしばしば現れてきて、そこに立ち止まって注入される言葉の数々は渦を巻きながら叙述を滞留させつつ、途切れる…

年初めホラー談義

承前*1 われらがJホラーは、清水崇「呪怨」(1999)において新たな段階に入ることになった*2。Jホラー特有の、あの、環境に溶け込んだような曖昧な存在。一瞬見えたかと思うと、たちまちかき消え、目を見開いていないと逃してしまう何ものか。この蜃気楼のよ…